新聞記事にのっていた対談です。***
◇犬になりたい子供たち 平和を生き延びられぬとき、戦争招く
清水 幼稚園や保育園でままごと、つまり家族ごっこが成立しなくなっているのはご存じですか。
福岡 父親のなりてがいないというのは以前からよく聞きますね。
清水 ええ。でも昔はお母さんになりたい子はたくさんいた。今はお母さんになりたい子もいないんです。で、みんな何になりたいと思います?
福岡 まさか自分?
清水 ペット。
福岡 えっ。
清水 犬に、ペットになりたいんです。3、4年前に初めて聞いた時、まさかと思った。でも学生の実習をお願いしている園を回って先生たちの話を聞くと、どこの園でも言われるのがそれ。園で写真を撮ったら、後ろに犬のヒモをつけて歩かされている子が写った。それで「こんな姿が写ったら親はつらいだろうと思ったんだけど」って言った後、「でも今、犬になるのは一番力の強い子、なりたいものになるわけだから」って。そんな時代。
福岡 お母さんになりたくないのは、お母さんが怖いからですか。
清水 怖いの。疲れてイライラしているように見えている。少なくともすてきな大人には見えていない。子供はいつもあれしなさいこれしなさいと言われ、何かできなかったらしかられる。
福岡 つらいなあ。
清水 つらいんです。家でいい子をしているもんだから、そのフラストレーションを園で爆発させて手がつけられないくらい暴れ回る。そんな子が増えて、先生たちが悲鳴をあげています。
福岡 昔は逆だったでしょ。外でいい子にしている分、安心して自分を出せる家で爆発するんだと。家で自分を出せないから園で出すのか。それにひきかえペットは。
清水 何もしなくていいし、いつもベタベタ愛されて。羨(うらや)ましいんです。もう病的な状態。
福岡 底が抜けてしまっている感じですね。今がつらいのは幼子たちだけじゃないでしょ。
清水 このごろの学生たちを見ていても、親子関係の変化を痛感します。経済的に大変そうには見えないのに、学費だけは出すけど交通費や書籍代などあとはすべて自分で稼げという親御さんが増えていましてね。奨学金を勧めると、奨学金は親が全部取っちゃうんですって。それが1人や2人じゃない。進学費用を親から借りる形にさせられ、就職して返すのは大変だから学生のうちにとアルバイトに追われる学生も増えています。
福岡 最近は失業即ホームレスみたいに言われるから何か変だなと思っていましたが、今の話を聞いて納得しました。ホームレスやネットカフェ難民が出るはずだ。セーフティーネットだった家族とか地縁・血縁関係とかが機能しなくなっているんですね。
清水 昔の親は貧しかったけれど違っていました。経済の懐というよりも精神的な懐が浅くなった気がします。親の。
福岡 社会も。あらゆるものをお金で代替させるようになって、とても懐の浅い社会になってしまいました。
清水 学生たちが「戦争体験がある人が羨ましい」と言い出して25年くらいになります。「みんな生き生きと戦争体験を話すのに、私たちにはあんなに生き生きと話せることなんて何一つない」って。驚きました。でも本当だと思った。私は5歳の時に北朝鮮から引き揚げてきたから、戦争の後に平和が来るんだとずっと思っていました。
福岡 戦争に人々が懲りて平和が来ると。
清水 でも反対だと分かった。人々が平和を生き延びられなくなったとき戦争を呼び寄せるんだと。
***
1941年に日本がアジア太平洋戦争をはじめた日にちなんで。






![Powered by 269g[ブログ・ジー]](http://269g.jp/img/269g.gif)


