歌はわたしのかなしい玩具であるーー二十六年の生涯を通して、生活の暗部から眼をそらすことなく、しかしそのみずみずしい感性を失わなかった石川啄木。彼のポエジーは永遠に若い。頬につたふ
なみだのごはず
一握の砂を示しし人を忘れず
大海にむかひて一人
七八日
泣きなむとすと家を出でにき
いのちなき砂のかなしさよ
さらさらと
握れば指のあひだより落つ
しつとりと
なみだを吸へる砂の玉
なみだは重きものにしあるかな
大といふ字を百あまり
砂に書き
死ぬことをやめて帰り来れり
いと暗き
穴に心を吸はれゆくごとく思ひて
つかれて眠る
不来方(こずかた)の
お城の草に寝ころびて
空に吸われし十五の心




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